雑損控除ってご存知ですか?
雑損控除とは、災害や盗難などの被害にあった時に使える
所得控除のことをいいます。
前提としてそういった被害に合わないことが望ましいですが、
知識としては知っておいた方が何かと良いですよ!
今回は雑損控除について解説していきます。
雑損控除をやさしく解説
雑損控除とは?
雑損控除とは、
災害又は盗難、横領などによって、資産について損害を受けた場合に、
受けられる所得控除のことをいいます。
思わぬ災害や盗難などにあったときに、
家計を助けてくれるための措置と覚えておきましょう。
雑損控除は、所得控除に該当するため、
確定申告書の左下にあります。
詳しくは、下の図をご覧ください。
拡大すると…
雑損控除の対象となる資産は?
雑損控除の対象となるのは、『納税者』もしくは
『納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者』
が持っている『生活に必要な資産』となっています。
少し難しくなってきましたね。
『生計を一にする』というのは、
日常生活を送る上で使うお金を同じにしているということ。
普通の家族はもちろん、
親元を離れて生活する大学生でも生活費の送金を受けていれば、
『生計を一にしている』こととなります。
また、『生活に必要な資産』とは住宅や家財、そして衣類などのことです。
別荘や30万円を超える宝石類、骨董品などは該当しないので注意が必要です。
つまり簡単にいうと、
納税者本人か日常生活を送る上で使うお金を同じにしている総所得金額38万円以下の家族が所有する
住宅や家財、衣類などが雑損控除の対象となります。
損害の原因はどのようなもの?
雑損控除とは、資産について『損害』を受けた場合に、
所得控除を受けられます。
この損害とは、次のいずれかの場合に限られています。
➀震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象の異変による災害
②火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
③害虫などの生き物による異常な災害
④盗難
⑤横領
【参照:国税庁HP 災害や盗難などで資産に損害をうけたとき】
基本的に、自然災害などによる損害は雑損控除の対象といえるでしょう。
ただし、単なる紛失や詐欺、恐喝などは対象から外れているので注意が必要です。
雑損控除の計算方法とは?
雑損控除の計算方法は2つあり、どちらか多い方が適用されます。
まずは、差引損失額というものを計算します。
差引損失額というものは、
損害金額+災害関連支出(やむを得ない支出)-保険金で計算されます。
損害金額ってのは、その資産が損害を受ける直前の時価をもとに計算された損害の額※のことをいいます。
※基準となる時価は、取得価額から減価償却累計額相当額を控除した金額
つまり損害金額は、
(取得価額-減価償却累計額)✖被害割合
で計算されます。
また、災害関連支出とは、
災害で被害を受けた住宅や家財などの取り壊しや撤去、修理
などのための費用のことです。
つまり、こちらの金額が5万円を超えると、
雑損控除が受けられることとなります。
例えば、3000万円の木造モルタル造のお家※が
10年目に損害にあって半壊した場合を考えてみましょう。
保険金は0円、災害関連支出は800万円、そして総所得は400万円とします。
※木造モルタル造の住宅用建物は、耐用年数が20年と定められています。【建物耐用年数】
まずは、差引損失額を計算しましょう。
お家を建ててから10年目に損害にあったときのお家の時価は
3,000万円-(3,000万円✖5%✖10年)=1,500万円
と計算されます。
つまり、お家が半壊したときは、
750万円(1,500万円✖50%)
が損害金額となるわけです。
あとは、これらの金額を先ほどの式にあてはめましょう。
結果として…
①⇒750万円-400万円✖10%=710万円
②⇒800万円-5万円=750万円
いずれか多い方なので、この時の雑損控除額は750万円と計算されます。
うーん、なかなか難しいですね。
まとめ
いかがでしょうか。
思わぬ災害や盗難などにあったときに、
家計を助けてくれるための措置である雑損控除についてみていきました。
正直、雑損控除の計算はかなり難しいです。
実際には例題のようにきれいな数字は出てこないでしょうし、
そもそも例題の時点で分かりにくいですよね。。。
いざというときは、税理士などの専門家にお任せした方がいいでしょう。
まずは、こういう所得控除もあるということだけ覚えてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。