名義預金と疑われない対策とは?生前贈与で通帳を10年残すべき理由

  • 2026年6月27日
  • 日常
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親から子供や孫への生前贈与について、「3年から7年に延びたって聞いたけれど、結局いつの贈与から対象になるの?」「昔の通帳は捨てちゃっても大丈夫?」とお悩みではありませんか?

法改正のニュースを耳にしても、自分のケースにどう影響するのか分からず、不安だけが膨らんでしまいますよね。

そのまま放置して間違ったやり方で贈与を続けていると、将来の相続時に思わぬ税負担が発生したり、税務調査で厳しく指摘されたりするリスクがあります。

そこでこの記事では、会計事務所の実務目線から、生前贈与の「7年持ち戻り」の正しいルールと過渡期の注意点をどこよりも分かりやすく解説します。

税務署から「名義預金」と疑われないための対策も完璧に分かりますので、ぜひ最後まで参考にしてください。

目次

私の贈与も対象?知っておくべき「7年持ち戻り」最新ルールの基本

生前贈与のルールが大きく変わり、これまでは「亡くなる前3年以内」だった持ち戻り期間が「7年以内」へと延長されました。

まずは、この法改正が具体的にいつから、どのように影響するのかという基本から確認していきましょう。

【2026年最新】「3年」から「7年」への延長──過渡期のタイムラインを徹底解説

結論から言うと、2026年現在の相続において、過去の贈与がすべて一気に7年遡って課税されるわけではありません。

持ち戻り期間は現在、段階的に伸びている「過渡期」の真っ最中だからです。

この延長ルールは、2024年(令和6年)1月1日以降におこなわれた生前贈与から順次適用されています。

具体的には、以下のようなタイムラインで持ち戻る期間が段階的に伸びていきます。

亡くなった時期 持ち戻り(加算)の対象となる期間
2026年(令和8年)中 亡くなった日から遡って3年以内の贈与(改正前と変わらず)
2027年(令和9年)中 2024年1月1日以降〜亡くなった日までの贈与(最大約3年〜4年分)
2031年(令和13年)以降 丸々「過去7年間」の贈与が対象になる

つまり、2026年現在はまだ従来の「3年ルール」が維持されている最後の時期です。

2027年以降に相続が発生したタイミングから、段階的に期間が伸びていくことになります。

誰にあげた分が戻される?「相続人」と「孫・親族」の決定的な境界線

生前贈与の7年持ち戻りが適用されるのは、「相続や遺贈によって財産を相続した人」だけです。

基本的には、配偶者や子供がその対象になります。

そのため、原則として財産を引き継がない「孫」や「子供の配偶者(義理の息子・娘)」への生前贈与は、何年前のものであっても7年持ち戻りの対象外(持ち戻さなくてよい)となります。

⚠️実務上の重要な注意点

遺言書で「孫に〇〇の土地を譲る」と書いてあったり、生命保険金の受取人に孫が指定されていたりする場合は、その孫も「財産を取得した人」になるため、7年持ち戻りの対象になってしまいます。ここが生前対策における非常に重要な境界線です。

延長された「4年間」に受けた贈与だけの特例──総額100万円の免除枠とは

期間が3年から7年へと「4年間」延長されたことで、納税者の負担が増えすぎないよう、国は最新の緩和措置(特例)を設けています。

それは、延長された期間(亡くなる前3年超〜7年まで)に受けた贈与については、その4年間の合計額から100万円まで相続財産に足し戻さなくてよいというルールです。

例えば、延長期間にあたる4年間に、毎年30万円ずつ(合計120万円)の贈与を受けていた場合、100万円を差し引いた「20万円だけ」を相続財産に加算すればOK。

少し複雑ですが、遡る期間が伸びた分、一定の「免除枠」が用意されていると知っておくと安心です。

【実務のリアルな裏話】過去の預金通帳は「最低10年分」捨てるな!税務署が狙う名義預金の炙り出し

ここからは、ネットの一般的な解説書には載っていない、会計事務所の現場だからこそ分かる「税務調査のリアル」をお話しします。

法律上の持ち戻り期間は7年ですが、実務において通帳を処分してしまうのは絶対にNGです。

なぜ「7年分」ではなく「10年分」の通帳保管が必要なのか?

結論からお伝えすると、税務署が亡くなった人の過去の資金移動を調べる際、銀行へ「過去10年分」の取引履歴を照会するのが実務上の常識だからです。

法律が7年だからといって、7年分の通帳だけを残してそれ以前のものを捨ててしまうのは、現場で最も頭を抱えるトラブルの原因になります。

税務署の調査官は「お金がどこから出て、どこへ入ったか」の川の流れを徹底的に追います。

10年前の大きなお金の動きが今の口座残高のズレに繋がっているケースが非常に多いため、身を守るための証拠(通帳)は、最低でも10年分は手元に保管しておいてください。

税務調査官が真っ先に目を付ける!「名義預金」と判定される3つのチェックリスト

税務調査で最も指摘されやすいのが、名義は子供や孫のものでも、実質的な所有者は亡くなった本人だとみなされる「名義預金」です。

調査官が現場で実質的な管理権を見極める際、主に以下の3つのポイントを質問攻めでチェックしてきます。

  • 【チェック1】通帳の印鑑は誰が管理していたか?

    「子供の口座なのに、お父さんの実印や他のお父さん名義の通帳と同じ印鑑ケースに入っていた」というのは典型的なアウトパターンです。

  • 【チェック2】通帳やカードの保管場所はどこだったか?

    「子供は口座の存在すら知らず、実家の書斎の金庫にずっと眠っていた」という状態では、贈与が成立しているとは言えません。

  • 【チェック3】そのお金を子供が自由に使える状態だったか?

    「名義人である子供が自由に出し入れできず、引き出すには親の許可が必要だった」という場合も、名義預金と判定される可能性が極めて高くなります。

税務調査では、単に契約書があるか否かだけでなく、こうした「実態」が厳しく見られます。

【独自のシミュレーション】「良かれと思ってやった贈与」が裏目に出る落とし穴

「年間110万円までなら税金がかからないから大丈夫」と、自己流でコツコツ贈与を続けているケースが一番危険です。

実際の数字をもとに、どのような盲点があるのかシミュレーションしてみましょう。

ケーススタディ:毎年100万円ずつ10年間贈与したAさん親子の盲点

基礎控除(110万円)の範囲内だからと安心し、毎年100万円ずつ、10年間にわたって子供に銀行振込で贈与を続けていたAさん親子。

合計1,000万円を無税で渡せたつもりでいましたが、ここで相続が発生してしまいます。

仮に、このAさんが「7年持ち戻りルール」が完全に適用されるようになる2031年以降に亡くなったとしましょう。

この場合、以下のような想定外の計算が行われます。

  1. 直近3年分の贈与: 100万円 × 3年 = 300万円(全額加算)

  2. 延長された4年分の贈与: 100万円 × 4年 = 400万円。ここから免除枠100万円を引いて 300万円(加算)

  3. 合計の持ち戻り額: 300万円 + 300万円 = 600万円

せっかく税金がかからないように小分けにして渡していたはずの1,000万円のうち、実に600万円が「亡くなった時の財産」に強制的に引き戻され、相続税の課税対象になってしまいます。

「良かれと思ってやった生前贈与」が、将来の相続税を押し上げる結果になってしまうのです。

※2026年中の相続であれば3年分のみの加算ですが、将来を見据えた対策としては今からこの7年リスクを考慮する必要があります

実は手間もリスクも増える?「贈与税申告書の提出」が万能の証拠にならない理由

「あえて111万円の贈与をして、1,000円だけ贈与税の申告書を出して税務署に記録を残してあるから大丈夫!」

これも一般の納税者の方が非常によく勘違いされているポイントですが、贈与税の申告書を出しているからといって、税務署が「これは100%名義預金ではない」と認めてくれるわけではありません。

税務署側からすれば、「税金を1,000円払って、形だけ申告書を出しただけで、通帳や印鑑は親が管理しっぱなしですよね?」と言われればそれまでです。

申告書の有無よりも、やはり「もらった本人がその口座を管理し、自由に使える状態だったか」という実態のほうが遥かに重く見られます。

 

税務署に言い負かされない!2026年から実践すべき「正しい生前贈与」の3ステップ

では、大切な財産を安全に、そして確実に家族へ引き継ぐためにはどうすればいいのでしょうか。

2026年現在、私たちが実践すべき「正しい生前贈与」の手順を3つのステップでご紹介します。

ステップ①:毎年「贈与契約書」を形骸化させずに作成する

贈与は「あげます」「もらいます」のお互いの合意で成り立つ契約です。

これを証明するために、面倒でも毎回必ず「贈与契約書」を作成してください。

テンプレートを使い回すだけでなく、日付や金額、お互いの署名は必ずそれぞれの「自筆」で書きましょう。

しっかりとお互いの印鑑(認印でも可。より確実性を増すなら実印)を押印して保管しておくことが、将来の強力な防衛策になります。

ステップ②:受贈者(もらう側)本人の銀行口座へ振り込み、本人が管理する

お金を手渡しで渡すのは絶対にやめましょう。

必ず「あげる人の口座」から「もらう人本人が普段使っている口座」へ、銀行振り込みで送金してください。

これで通帳に確実な証拠が残ります。

そして、その口座の通帳、印鑑、キャッシュカードは、必ずもらった本人が管理し、いつでも引き出して使える状態にしておいてください。

ステップ③:暦年贈与だけでなく「相続時精算課税制度」の最新免除枠(年110万)との損得勘定を比較する

今回の法改正によって、もう一つの贈与方法である「相続時精算課税制度」にも、新しく年間110万円の基礎控除(非課税枠)が創設されました。

実は、この新制度を使って贈与した年110万円以下の財産は、何年経っても、亡くなった時に相続財産へ持ち戻す必要がありません。

ただし、相続時精算課税制度は一度選択すると、その後に従来の「暦年贈与(年110万円の非課税枠)」へ戻すことはできないという注意点があります。

  • 暦年贈与(従来のやり方): 年110万まで非課税だが、亡くなる前最大7年分は持ち戻されて相続税がかかる。

  • 相続時精算課税(新制度): 年110万まで非課税で、しかも何年前の分であっても持ち戻しは一切不要。

「とりあえず従来のやり方で」と考えるのではなく、これからはこの2つの制度の損得勘定をしっかりと比較し、状況に合わせて新制度を選んでいくのがプロの実務目線での最適解となります。

まとめ:過渡期だからこそ「証拠の残し方」で将来の税額が激変する

最後に、今回ご紹介した大切なポイントを振り返ってみましょう。

  • 生前贈与の持ち戻り期間は3年から7年へ延長中(2026年は過渡期の真っ最中)。

  • 延長された4年間の贈与には「合計100万円の免除枠」がある。

  • 税務署は過去10年の資金移動を追うため、預金通帳は最低10年分保管する。

  • 形式的な申告よりも「本人が口座を管理しているか」の実態が重要。

  • これからは持ち戻し不要な「相続時精算課税制度の年110万円枠」の活用も検討する。

法改正の過渡期はどうしても不安になりますが、プロの手順に沿って、隠さずに「正しい証拠」を一歩ずつ残しておけば、将来の税務調査を恐れる必要は一切ありません。

まずは今週末にでも、ご家族で過去の通帳の保管場所を確認し、これからの贈与の進め方について話し合ってみることから始めてみませんか?